*これもすべて同じ一日*

毎日の備忘録。最近は作ったもの=食べたもののことばかり。

朗読者

朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

行き帰りの電車で読破。15歳の「僕」が母親ほどの年齢の「彼女」と出会い、愛し合うが彼女は失踪してしまう。もう会うことはないかと思ったが、次にであった場所は…

昔すごい売れてて、王様のブランチでランクインしたのを何度か見たのを思い出した。これが売れたあと、こういう雰囲気の装丁の翻訳小説がドジョウ狙いで出版されてた気がする(セカチューが流行って、白っぽい装丁の恋愛感動モノが出版されたように)。

色々書くとネタバレになってしまうけど(まあネタバレたところでつまらなくなるような小説じゃないけど)、主人公が平凡というか、超人じゃないのがいいですね。薄っぺらい(と自分が思う)小説の主人公は「考えるよりも体が動いちゃう」人が多いけど、「僕」は葛藤していて、ああ文学だなって…久しぶりに二度読みたいなと思う小説に会えた。それが嬉しい。

大学に入ってから本をほとんど自主的に読まなくなってた。小学生の頃は、毎日一冊小説(岩波系ね。ドリトル先生とかアマゾン号とか)を図書館から借りて読んでたし、中学の頃は毎日六冊借りて次の日に返してまた借りるとかしてた。年間で120冊以上借りてたなぁ…まあしょうもない本が多かったんだけど。

大学に入って読んだ数少ない小説たち(家族狩り、ハルモニア石田衣良、百夜行とか)が、私にとってはストーリーだけ追ってしまう話で読み終わるたびにガッカリしたんだけど、朗読者はただの恋愛小説というより、ドイツの戦後の若者の葛藤みたいなのも中心に書かれていて、自分も考えるところが多かった。

はてなの朗読者の紹介文が綺麗にまとまってて、中身を知りたい人にはそちらを勧めます。